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お知らせ

2021年04月27日地域の資料をさがしてみよう!~港区を例にして~〈情報探索編〉

地域の資料をさがしてみよう!

~港区を例にして~

〈情報探索編〉

 

 資料を探すにはまずテーマが決まっていないことには何もできません。テーマを決めるためのきっかけとして地域のことを知るのに役立つのが、各自治体のHPや地域の紹介をしているパンフレットなどです。

 

 そこからざっくりと知りたいテーマをいくつか選び、それぞれのテーマに合う資料を探します。資料は必ずしも本だけではありません。先生から「本を集めなさい」と指示された場合に、しばしば「決めたテーマがマニアックで本が見つからないからテーマを変えます」という人がいますが、とてもいいテーマの人がそうやってテーマを変えてしまうケースをよく目にします。本当にもったいない!

 「港区の高輪築堤」を例に、せっかく思いついたテーマを活かしながら、必要な資料をどう集めるかを考えていきましょう。

 

〈例〉 港区の高輪築堤

 ○このテーマにしたきっかけ○

               高輪ゲートウェイ駅前に高輪築堤が出土し、保存することになったとニュースで聞いたから。

 

 



①とにかく今知っている情報や思いつくキーワードを「マンダラート」に書き出す。



 

高輪ゲートウェイ駅

 

港区

 

鉄道

 

歴史的価値

 

高輪築堤

 

遺跡

 

明治時代

 

JR

 

保存


※きっかけになったニュース記事などを参考にしました。

※「マンダラート」にいれてみたキーワードのなかで自分なりに大事そうなキーワードがあれば更に広げてみます。



②「高輪築堤」の情報をもう少し知るため、「朝日けんさくくん」で「高輪築堤」と検索してみる。

 

 

○2021年4月の記事で初めて「高輪築堤」について知ったけれど、2020年12月から記事が合計8本あった。(2021.4.27時点)




読んでみて分かった事を一部だけ書き出すと…

 

朝日新聞20201212日朝刊   東京都心・1地方「150年前の「高輪築堤」出土 JRの駅周辺開発」

 高輪築堤は、1870年代に鉄道を海上に通すため、現在の田町駅付近から品川駅付近まで約2・7キロにわたって造られた。当時軍の敷地を避けるために海上ルートが採用されたという。海の浅瀬に盛り土をして石垣で固めた幅約6.4メートルの堤で、その上を列車が通っていた。昭和初期にかけての埋め立て工事以降、状態が分からなくなっていた。

 

朝日新聞20210109日朝刊3社会「海を走った、鉄道跡 高輪築堤」

高輪ゲートウェイ駅前の再開発でビルを建てようとしたら出土し、JR東日本は港区教育委員会や鉄道博物館(さいたま市)と共同調査を続けてきた。2020.12頃は一部の現地保存や移築を検討していた。

 

朝日新聞20210317日夕刊社会1「高輪築堤、現地保存か移築か 明治時代の鉄道跡」

開発を進めたいJR側と保存を訴える側の意見が平行線を辿っていた。<保存側>
 3月2日、考古学研究者でつくる日本考古学協会(東京)が辻秀人会長名で声明文を出した。高輪築堤の遺構を「世界史的にも稀有(けう)だ」と高く評価し、「東アジア最初の鉄道の遺跡として全体を保存する責務がある」と指摘。JR東に全面保存と開発計画の抜本的見直しを求めた。
 <JR東日本>

深沢祐二社長は定例会見で、「全面保存という形では開発自体が全く成り立たなくなる」と述べ、協会の要望に否定的な考えを示した。

政府は保存を後押ししている。

 

※まとめるのに時間がかかる場合は、記事や本のページをコピーして手元に残しておきましょう。

 


③キーワードの定義をしらべてみる。



なんとなく分かっている言葉は面倒でも一度定義を調べてみましょう。事典や辞典で調べてみると、自分の思い違いや新たな視点に気づき、情報の幅が広がります。


「築堤」とは

広辞苑…つつみを築くこと。また、築いた堤。


「堤」とは

広辞苑…湖沼や池・川などを包むものの意。湖沼や池・川の水があふれないようにツチを高く築いたもの。土手。堤防。

 

 

④ここまで知ったキーワードや知識をもとに、興味が湧いたキーワードからもう一度「マンダラート」を作ってみる。

 

 

開発との両立

 

土地の所有者

 

鉄道遺跡

 

歴史的価値

 

遺跡の保存

 

東アジアの鉄道史

 

保存の種類

 

国内の別の事例

 

世界の事例

 

→遺跡の保存について興味が湧いたので、それに関する本を探してみよう。



☆検索するときには検索するための単語を思い浮かべよう。

例)文化財、遺跡、文化財保護、考古学、史跡



・椎名慎太郎『遺跡保存を考える』 岩波書店1994.1


・文化財保存全国協議会 編『遺跡保存の事典』平凡社2006.5


・菊地徹夫『はじめての考古学』朝日学生新聞社2013.11


・佐々木憲一『はじめて学ぶ考古学』有斐閣2011.4


・平野邦雄『史跡保存の軌跡―その苦闘の記録』吉川弘文館2004.10


・稲田孝司『日本とフランスの遺跡保護 : 考古学と法・行政・市民運動』岩波書店2014.5


・梅原淳『ビジュアル日本の鉄道の歴史  1』ゆまに書房2017.4

 

 

☆オススメ検索ツール

Webcat Plus (nii.ac.jp)

・文章から連想して本を検索することができます。「オードリー・ヘップバーンの魅力とは」などと入力すると関連書籍が検索できる『連想検索』機能があります。

・目次が載っているので本の内容が想像しやすくなっています。




 

○このように、「高輪築堤」で本を見つけられなくても、「マンダラート」で周辺のキーワードを見つけていくと「高輪築堤」が抱える課題に関する本などを探すことができます。